iPS細胞

日本発のiPS細胞技術は、生物医化学の分野で強力なツールとして活躍しております。特に創薬スクリーニングには欠くことのできないものとなってきております。弊社の本受託サービスは、研究者の方々が必要とする研究材料のiPS細胞をご提供すべく整備しております。また、これらオリジナルのiPS細胞に対し、そして標準iPS細胞に対しゲノム編集技術による遺伝子改変を施すことで将来疾患細胞となるiPS細胞も準備することができ ます。

iPS細胞の樹立作業工程(以下iPS細胞の樹立と受注フロー)

本サービスでは、末梢血単核細胞(PBMC)に、エピソーマルベクターを導入し、iPS細胞を作成しご提供いたします。

受託サービス内容_ゲノム編集とiPS細胞の遺伝子改変作業

  1. PBMCの準備( 約1週間)
    和光純薬様でご購入できる末梢血単核細胞(PBMC)をご提供いただき、凍結保存してある末梢血単核球から 細胞を増やしiPS細胞樹立作業に供します。
  2. 遺伝子導入、および細胞培養( 約5週間)
    準備した末梢血単核球に、エピソーマルベクターを導入し、iPS細胞を樹立いたします。
    エピソーマルベクター5種(環状DNA: Epi5 Episomal iPSC Reprogramming Kit)を4D-Nucleofector™ (lonza)を用い末梢血単核球に導入します。エピソーマルベクター5種が導入されiPS細胞される細胞は、ラミニンコート(iMatrix511)のフィーダーフリーの条件下で培養します。
    適当なサイズのコロニーとなりましたらピックアップし、植え継ぎいたします。その継代作業を数回行い、最終的に35mm dishサイズまでエキスパンドさせます。
    培養液にはN2B27培地、およびエッセンシャル8培地を使用いたします。
  3. iPS細胞の凍結
    適度に増殖したiPS細胞に対し、Y-27632添加培地を利用して細胞にダメージを与えないよう単離作業を行う。0.8〜1×106cell/バイアルとなるよう調整し、StemSure® hPSC 凍結保存溶液, AFを用い凍結保存します。
  4. 品質確認(約1から3週間)
    iPS細胞は、株ごとに様々な特徴を示す細胞株です。そこで、弊社ではiPS細胞特有の形質をいくつかピックアッピして解析し、樹立した細胞株の品質を確認しております(一部オプション)。
    • iPS細胞陽性確認_iPS細胞特異的表面抗原&レクチンの染色(生細胞染色)
    • アルカリフォスファターゼ(ALP)染色
    • キットを用いた三胚葉分化能確認試験(R&D, Human Pluripotent Stem Cell Functional Identification Kit 使用)

継代数と品質

品質確認

iPS細胞の遺伝子改変(iPS細胞の改変と受注フロー)

ヒト由来の細胞から細胞初期化(iPS化)された細胞の特定遺伝子をCRISPR/Cas9を使用して遺伝子を破壊する受託サービスです。単一遺伝子および複数遺伝子の同時破壊も可能です。

受託サービス内容_ゲノム編集とiPS細胞の遺伝子改変作業

遺伝子改変事例:ゲノム編集による遺伝子破壊(単一&複数箇所)

使用したiPS細胞 弊社樹立iPS細胞株
(Epi5により初期化されたPBMC由来細胞)
遺伝子改変技術 CRISPR/Casシステム利用(pX330プラスミド)
標的遺伝子 DNMT3Aおよび3B(2遺伝子の同時破壊が目的)
遺伝子導入法※1,※2,※3 エレクトロポレーション(4D-Nucleofetor)
播種数 1.35 × 106 細胞を10cmdish3枚に播種(0.4 × 106 / dish )
選抜方法 Puromycin選抜
遺伝子型判定 Surveyor assay法による変異体の抽出
確認後、シークエンスに解析実施

※1 DNA量は10μg
※2 CRISPR+gRNAプラスミドを3Aと3B各5μg+puromycin耐性のプラスミドを全体の1/20量添加
※3 それぞれのgRNA配列は、Liao、Jing、et al、Nature genetics 47.5(2015):469-478を参考とした。

遺伝子改変事例_結果1:ゲノム編集による遺伝子破壊(単一)

ホモ変異株の取得

A25株 DNMT3Aシークエンス結果
PCRプロダクトをダイレクトシークエンス解析した。

遺伝子改変事例_結果2:ゲノム編集による遺伝子破壊(複数箇所)

作業結果

ピックアップ数_11クローン
DNMT3Aのみ変異_3クローン&DNMT3Bのみ変異_2クローン
DNMT3A、3Bともに変異_3クローン
ダブルノックアウトホモ1クローン確認